定時に帰る新入社員をよく思わない人たち

 会社には就業時間っていうのがあって、その時間内に仕事を終わらせて帰ることは当たり前だと思います。私も「仕事を時間内に終わらせられない人は能力がない」と考えてしまう人なので残業は反対派です。ですが「定時で帰るなんてけしからん!」という人も会社の中には一定数います。

これは私の部署の年配(60代)の男性に実際に言われたことです。

近頃の若者はほぼ定時に帰宅する。
会社内でやるべき事が最も多いのは新人、覚えることが多い彼らには時間がいくらあっても足りないはず。
スポーツ選手がどの様な時間の使い方をして居るのか考えればわかる、全ての時間を自分の役に立つことだけに使っている。彼らももっと自分の役に立つことに時間を使うべきた。

という意見です。

 育った環境が違うというか、昭和30年代の時代背景と現代ではその感覚にズレが出ても仕方ないのかなぁと思いますが、社会に出て数ヶ月の若者を捕まえてこの様な言葉で説教するのはいかがなものかと思います。そもそも働き方に足しての捉え方が違うのでその違いを理解していないと単なる老害になってしまいます。残業推進派がなぜその様な意見になるのか考えてみました。

終身雇用時代で過ごしてきている経験

 昭和からバブルの崩壊する平成の前半までは終身雇用が当たり前の時代で会社に入社すれば死ぬまでクビになることもなく、毎月の給与をもらい続け、退職するときは退職金を受け取ることが当たり前という環境でした。そんな中で人生を過ごしていた人なので会社に精一杯尽くす事が当然という結論になるのでしょう。

 気持ちは分からなくはないですがもう令和です。終身雇用が崩壊しているのですが、そのような人たちは雇用形態が変化していることに気がついていないことが多いと思います。

ジョブ型雇用とメンバーシップ雇用

 終身雇用制度が崩壊してきていて従来のメンバーシップ型雇用と言われる雇用体系から、業務に必要な人材を採用するジョブ型雇用の導入が増加しています。ジョブ型雇用の特徴は求められる成果とそれに必要なスキルを明確にして契約する雇用形態です。

 海外の場合のジョブ型雇用は特定のプロジェクトでその人のスキルを必要としての雇用が主流なので、プロジェクトが終了すると同時に解雇される事が普通だったりします。

ジョブ型雇用の働き方

 ジョブ型雇用の人は成果とそれを達成するスキルによって雇用を維持されています。そのためスキルを磨く時間も必要です。業務時間帯に成果を出しているのであればそれ以上会社に留まる理由はなく、業務終了と同時に退社して自分のために時間を使う事が普通です。

メンバーシップ雇用の働き方

 メンバーシップ雇用の場合は、ジョブ型とは異なり一つスキルを磨けば良いわけではなく。一つの会社のあらゆる業務を覚える必要があります。転勤や異動をして多くの業務を習得して総合的に会社を支える人材を育成していく働き方です。
 総合的に業務を把握する必要があるため、長期的に教育する必要があり、終身雇用を前提として雇用形態となります。この雇用形態の場合は業務の習得をいかに早く行うかがその人の評価となるので、会社に長い時間留まることで習得期間が短くなる事もあります。

残業推進派になる人たち

 メンバーシップ雇用での社会人経験が長い人が残業すべき派になっている場合が多い様に感じます。『若者が定時に帰宅する」のは会社以外ですることがあるためで、”会社が嫌い”とか”仕事が嫌い”というわけではないのですが。その経験から会社に居ない=不真面目の図式になり。残業する人=真面目に働く人の図式になるのでしょう。会社に居る時間が自分の役に立つ時間と考えてしまうのはそのためです。

残業推進する程度が低い人もいる

 成長につながるから会社で残業すべきた。という人の影に隠れて、程度の低い残業をする人もいます。
 生活残業って聞いたことありますか?「今月はお金が必要だから残業する」「毎月2万円ぐらいは残業しないと支払いできない」という程度の低い人も中にはいます。更にはいまだに「自分の評価を上げるために残業をする」という人もいます。共通して言えるのは残業を自分だけの基準で行って居ることです。その人たちも自分たちを正当化するために残業は善行だとしているとも言えます。

 残業という行為は残業代という金銭が発生します。残業推進派の人たちは自分の利益のために会社に負担をかけていて、その不当な残業分による利益の減少が、正当に勤務している人の賞与を減少させている原因にもなっていますので、不当な残業は認められるものではありません。

働き方は変化していきます

 今はジョブ型に変化をしてきていますが、今後も働き方については変化し続けていくはずです。変化に柔軟に対応していくことが、自分の価値を上げることにつながります。残業しない人に対して不快感を持つ人も一定数いることを理解しつつ、自分自身も経験から得られる答えが正しいこととは限らないことを理解する必要があります。

『働き方改革」は今後も加速していきますので、自分の生き方改革も進めていきましょう。

コメント

  1. […]  終身雇用が崩壊してきていて、これからはジョブ型雇用になると言われています。ジョブ型は専門分野の人材を採用してプロジェクトの運営をしていく雇用スタイルです。(ジョブ型雇用関係の記事はこちら) 雇用契約が個人のスキルに依存した形態になります。つまり。勉強してスキルを磨かない大人たちは落ちていく。というなになります。 […]

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