「厳しさの中でしか成長はない」という間違い

厳しさの中でしか成長しない。と真顔でいまだに言っている上司っていませんか?

実は私の周りでも、厳しくすることが相手の為になると本気で思っている人が結構います。

令和の世の中でそんな人いるの?って思うかもしれませんが、実際には結構な割合で厳しい指導が正しいと感じている人がいます。

なぜ厳しい指導が正しいと感じるのか

 バブル世代を経験している世代やその直後の年代のを過ごした人達にとっては、働くことは終身雇用が前提としてありました。会社は定年まで勤め上げれば多くの退職金が貰えたので転職することはタブーでしたし、給与だって毎年会社に在籍していれば基本給部分も昇給していく昇給が当たり前でした。 そのため長い時間会社で仕事をして上司に「こんなに頑張っていますよ。私」とアピールすることが自分の評価を上げて生活を豊にする1番の近道でした。

 そんな時代を生きてきた人にとっては、年功序列の価値観で上下関係が成り立っています。年配の人は偉くて若者はペーペーなのです。自分より若い人には「厳しく指導しても」=「横柄な態度をしても」良いと勘違いしている人が多くいるのです。

 今の会社の40代から上の年代の人たちが教育を受けた世代は戦争を戦った世代です。軍隊なので上官は絶対という思想がないと戦えません。戦後復興を支えてきた人たちから教えてもらった世代なので自分達は相当厳しく指導されたのだと思います。その名残が今でも残っているのでしょう。

 学生時代から育ってきた環境が先輩は絶対。社会人になっても先輩は絶対という環境で育ってきている人の場合、理屈抜きで指導は厳しいものだ。と考えている人もいるので注意しましょう。

厳しい指導

「成長してほしいから厳しくしている」は育て下手な言い訳

「成長してほしいからわざと厳しく指導している」という人もいます。これは大きな間違いで自分の指導方法を考えることすら諦めている、私は何も考えていない指導者ですと言っているようなものです。

「私は厳しい指導のもとで今の技術を習得したのだから厳しく指導しなければならない」
「自分が見て覚えたのだからお前も見て覚えろ」

 こんな人もいます。時代錯誤も甚だしいですよね。自分が教わった内容をしっかりと言葉で表してもらえれば済む話です。自分が言語化できないからといってその責任を「部下の物覚えが悪い」と転嫁するのは恥ずかしいことです。

 通常誰かに指導するときは、伝える努力も必要です。
Aさんには伝わったけどBさんには伝わらなかった。なんてことは普通です。Bさんの物覚えが悪いわけではありません。上司の伝え方が悪いのです。同じ言葉で伝わらないのなら違う言葉で表現すればいいのです。

「部下が成長しない」

「仕事が任せられない」

「チームワークが悪い」

これらは全て上司の責任です。

厳しいよりも伸び伸びと仕事をした方が成長は早い

厳しい指導で成長は早くなりません。それどころか遅くなります。

 成長する為には「失敗」は必要です。人は失敗を経験して成長していくことができるからです。厳しい指導をする人の中には「失敗を許さない」と考えている人も多くいます。

苦手な上司・部下の理由と解決策がわかる!伝え方コミュニケーション検定

 実際に指導を受ける若手は失敗の確率は当然高いです。それはその人が悪いわけではなくその人に「失敗の経験」がない為に起こることです。成長スピードを上げる為には「多くの失敗を最小の怪我でさせてあげる事」です。そのため「失敗許すまじ」という姿勢では指導を受ける方も萎縮してしまいます。

「また失敗したら怒られる・・・・」「結果が出なかったらどうしよう・・・」こんな精神状態では前向きな挑戦もできません。当然、挑戦もしないので失敗の数も少なくなってしまいます。

厳しい指導でマイナスの感情が芽生えてしまうと人は行動ができなくなってしまうのです。

行動できるようにするには「ちょっとやってみようかな・・・・」という感情にする必要があります。

「挑戦してみよう!最初は誰だって失敗するものだよ、やってみたら?」と失敗にマイナスの感情が湧かないようにしましょう。

そんな経験を重ねることによって「できること」を増やしてあげましょう。

指導する立場としては「失敗しても安全な場所」を提供すればよいのです。

仕事は厳しいものであることには変わらない

 真逆の言い方かもしれませんが、「仕事」自体は優しいものではありません。ちょっと考えてみてください。誰かが一生懸命に働いてもらったお金をあなたの商品やサービスの対価として支払うのです。仕事は相手が支払ったお金以上の価値があると感じてもらえないといけません。満足に達しないと二度とあなたのサービスは使ってもらえないのです。

 仕事には当然そのような厳しさがあります。「お金」を受け取るのですからそれ以上の「価値」を返さなければならないのです。800円のラーメンに800円の価値がなければラーメン店は潰れます。ただそれだけの話です。

あなたのサービスには頂くお金以上の価値はありますか?
あなたが社長だったらあなたを雇いますか?

それが仕事の上での厳しさです。

自分を厳しい場所に置く人は成長が早い

 上司から押し付けられた厳しさから成長する人はいません。もし成長している人がいるのならそれは、その上司の厳しい環境に馴れただけで自分の成長にはつながっていません。

自ら成長する人の特徴は、自分で厳しい場所に身を置くことができる人です。

 この厳しい環境という意味は、厳しい上司や怖い上司がいることではありません。自分から新しいことに挑戦して失敗することを選ぶ人のことです。人は失敗をして強くなっていきますが、失敗を続けることは自分自身決して楽なことではありません。失敗する勇気を持っていないと継続して成長する場所に身を置くことができません。

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失敗しても折れない心と、常に前に進み続ける探究心がないと継続して自分を成長させていくことは難しいのです。

本来の指導は、その人の自己肯定感やレジリエンスを高め、挑戦し続けるマインドを作って上げることではないでしょうか。

あなたの上司が厳しさの中でしか成長できないと考えている人であるのなら。反面教師として学ぶことができます。しなやかな心で自分を成長させましょう。

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