「厳しさの中でしか人は成長しない」は本当?部下が伸びる指導に変える方法

部下の話を聞きながら期待を伝える管理職のイメージ 仕事
厳しさを、挑戦できる基準に変えよう

「厳しさの中でしか、人は成長しない」

仕事をしていると、そんな言葉を聞くことがあります。私の周りでも、「成長してほしいから、あえて厳しくしている」と本気で考えている人を見てきました。

もちろん、仕事には期限があり、品質や責任があります。お客様から対価をいただく以上、求められる水準に向き合う厳しさは必要です。

ただし、仕事そのものの厳しさと、上司が部下を厳しく扱うことは別の話です。相手を萎縮させるだけの指導は、失敗を隠し、相談を遅らせ、結果として成長の機会を減らしてしまいます。

この記事では、厳しさを否定するのではなく、部下が挑戦しながら伸びるための「必要な厳しさ」に変える方法を考えます。

厳しい指導が、いつの間にか目的になっていないか

自分が厳しく教わってきた人ほど、「自分もそうだったから」と同じ形を繰り返したくなることがあります。たしかに、その環境を乗り越えて今の力を身につけたという実感もあるでしょう。

けれど、厳しい環境があったから成長したのか。その中で、自分なりに考え、助けを求め、挑戦を続けたから成長したのかは、分けて考えた方がよいと思います。

部下に必要なのは、怖がらせることではありません。何を期待されているかを理解し、失敗しても早めに相談でき、次にどう直せばよいかが分かる状態です。

仕事に必要な厳しさは、相手ではなく「基準」に向ける

仕事には、甘くできない部分があります。納期を守る。お客様との約束を守る。安全や品質を守る。数字から目をそらさない。ここは、管理職も部下も一緒に向き合うべき厳しさです。

一方で、次のような言葉は、仕事の基準ではなく相手自身を追い詰めやすくなります。

  • 「だから君はだめなんだ」
  • 「前にも言ったよね。何回言わせるの?」
  • 「見て覚えられないなら向いていない」

厳しさを向ける先は、人格ではなく、仕事の目的と行動です。

「今回、期限に間に合わなかったことで、お客様への連絡が遅れた。次は遅れそうだと分かった時点で、一度相談してほしい。」

この伝え方なら、守るべき基準は明確にしながら、相手の人格を否定せずに済みます。

成長を止めるのは、失敗そのものではなく「失敗を隠すこと」

若手や新しい仕事を任された人は、最初からうまくできるとは限りません。失敗が起こること自体は、経験が増える途中では自然なことです。

問題は、失敗したときに「怒られるから言えない」となってしまうことです。報告が遅れれば、被害は広がり、本人もますます自信を失います。挑戦もしなくなります。

管理職がつくりたいのは、「失敗しても大丈夫な職場」ではありません。小さな失敗を早く共有し、被害を小さくして、次に生かせる職場です。

そのためには、失敗を聞いたときに、最初から原因追及だけで終わらせないことが大切です。

  1. まず、何が起きたかを事実として確認する
  2. 次に、いま取れる対応を一緒に考える
  3. 落ち着いてから、次回防ぐための手順を決める

この順番なら、責任を曖昧にせず、相手が次に動ける状態をつくれます。

「厳しい上司」ではなく、「期待を伝えられる上司」になる

部下が成長しない、任せても戻ってくる、チームの雰囲気が重い。そんなときは、部下のやる気だけを見る前に、上司側の伝え方と任せ方も一度見直してみましょう。

相手によって、経験も得意な学び方も違います。同じ一言で伝わる人もいれば、背景や完成イメージを共有して初めて動ける人もいます。

「一度言ったから分かるはず」ではなく、次の3つを最初にそろえると、厳しく言わなければならない場面を減らせます。

  • 何のためにやる仕事か
  • いつまでに、どの状態なら終わりか
  • 困ったときは、誰に、いつ相談するか

期待が伝わっていない状態で結果だけを責めても、相手は学びにくいものです。伝える努力も、管理職の仕事の一つです。

ハラスメントを恐れて、何も言わない必要はない

最近は「注意したらハラスメントと思われるかもしれない」と、必要な指導までためらう人もいます。

けれど、相手を尊重し、業務上必要な目的を示し、具体的な行動を伝え、話を聞く余地を残すことは、ハラスメントとは違います。パワーハラスメントの基本的な考え方は、厚生労働省の「あかるい職場応援団」でも確認できます。

必要なのは、厳しく見せることでも、優しいだけで終えることでもありません。相手の成長と仕事の成果の両方に責任を持ち、必要なことを伝えられることです。

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まとめ|厳しさを、挑戦できる基準に変えよう

厳しさの中でしか人が成長しないのではありません。人は、求められる基準を理解し、失敗から学び、もう一度挑戦できる環境で伸びていきます。

仕事に必要な厳しさは、部下を怖がらせるためではなく、お客様への価値やチームの約束を守るために使うものです。

次に部下へ伝えるときは、「この言葉は相手を責めていないか」「次に何をすればよいかを渡せているか」を、一度だけ確認してみてください。それが、厳しさを成長につなげる最初の一歩になります。

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