みんなの意見を取り入れようと動いてくれるリーダーっていますよね。一見みんなの意見を聞き入れてくれる、民主的で素晴らしいリーダーのように感じてしまいますが、多くの意見を取り入れることによる弊害も実は少なくありません。みんなの意見を聞いていく民主的なリーダーが気をつけるべきことと、その役割について考えています。
民主的すぎなリーダーの落とし穴
企業のリーダーやマネーシャーと言われる経営層のあり方が最近変化していて、
「部下の意見を聞いてみます」
「メンバーみんなと打ち合わせをしてまとめます」
と言う民主的なリーダーが増えて来ました。
上司の言うことは絶対だ、と言うようなパワーマネジメントは良く無いですから当然と言えば当然です。しかし部下の意見を尊重しすぎる事によって起きる弊害もあります。
民主的に意見を聞くことは大切ですが、以下のことには気をつけないと生産性は低下しますし、意見の質も下がります。リーダーとしてすべき事をしない、意味のない上司になってしまいますので気をつける必要があります。
コミュニケーションコストがかかる
時間がコスト(費用)であることを理解していない人、部下の時間を奪うことを気にしていない人って実は結構多いです。
会議の1時間当たりの単価を出して見ましょう。
従業員一人当たりの時間コストはその人の給与を160時間で割ることでおおよそ把握できます。
例えば月給25万円の人の時間単価は1,562円です。その人達が4人で会議をした場合の会議の人件費は1時間当たり6,250円もかかります。その中に単価の高い上司が入ってきたら1時間当たり1万円を超える金額がその会議でかかることになります。
実際にお金はその場で支払うことはありませんが、会議を行ってその人の時間を拘束すると言うことや、意見を聞くために一人一人と時間をもって聞くことは費用がかかっていると言うことを理解しておきましょう。目に見えない時間にもコストはかかります。
差し障りのない意見となる可能性が高い
多くの人の意見を聞けば聞くほど、一人や二人の尖った意見はどんどん丸くなっていきます。川の上流ではゴツゴツした岩が下流に行くにつれ丸くなっていくように、多くの意見を取り入れることをすると尖った部分がなくなってしまい、誰もが受け入れられ、誰でも思いつく様な面白みのない意見になりがちです。
組織として見た場合、尖った意見が取り入れられない組織風土になってしまうので、イノベーションが起きにくくなってしまいます。下流で丸くなった石はそこからさらに流されても尖ることがないですからね。
スピード感がなくなる
経営変化のスピードはめちゃめちゃ加速しています。特にこの一年はコロナの影響でテレワークが突然浸透したり、オンライン会議やウェビナーなんかも急に増えました。この様な環境の変化にいかに対応していくか。環境変化をどのように捉えるかによって企業にとっては大きな武器にもなります。
単独で判断する場合、余計なことも考えないのでスピード感があるのですが、民主的なリーダーの場合は部下をはじめとする自分のチーム全ての意見を聞こうとします。すると当然時間も掛かります。
判断に時間がかかるということは他社に先を越されていることにもなり。タイミングを逸してしまうとその判断は意味がなくなってしまいます。二番煎じに価値はあまりありません。
「みんなの意見を尊重している」という大きな勘違い
組織を運営していく上で部下からの意見や情報はとても大切です。部下やチームメンバーが安心して発言できる環境を作っていくことももちろん大切です。現場からの意見によって最適解を出せることもあります。意見が言える環境は一人一人の力を最大限に使うことにもつながりますので当然必要です。ここで問題なのは「みんなの意見を尊重することのみで自分の意見も無いリーダー」です。
リーダーの仕事は”決断”すること
部下からの情報収集はとても重要ですが、リーダーの仕事は部下の情報を聞き出すことではなくその先の決断を行うことが最も重要な仕事です。その”決断”とその決断結果の”責任”を持つことがリーダーとしての必要です。
自分が責任を取るのが嫌で「みんなの意見を聞いている」と言い訳をする人もいますが、”決断”が出来ないリーダーは最悪です。頼りないですね。
やることはリーダーが決める、方法はメンバーが決める
会社の経営に関わる判断、”今後やるべきこと”についてはリーダーが全責任をもって決めます。
”やるべきこと”と達成するための方法はメンバーで決める
本来のリーダーがすべきことと、メンバーがすべきことは明確に分かれています。決定事項をメンバーで話し合っても意味がありませんし、時間と費用とチャンスの無駄遣いです。
リーダーの仕事はその決断が正しいかどうかで評価されます。部下の意見を尊重して決断を迷う様ではリーダーではありませんし、そもそも部下の意見と決断事項は別なことです。
民主的すぎるリーダーにならない様に気をつけていきましょうね。
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