選択肢が多すぎて、結局いつもと同じ方を選んでしまう。
転職するか、今の会社に残るか。AIを学ぶか、英語を始めるか。副業を試すか、休日は休むか。
40代になると、仕事でも生活でも選択肢は増えていきます。その一方で、家族、時間、体力、お金のことも考えなければなりません。
選択肢が多いほど自由になれるようで、実際には迷ってしまうことがあります。
私自身、意識していないと「いつもと同じ」「負担の少ない」方を選びがちです。基本的に怠け者なので(笑)、楽な方へ流れる気持ちはよく分かります。
だから今は、迷ったときに一つの基準を置くようにしています。
どっちの方が楽しいだろう?
この記事では、選択肢が多すぎて動けないときに、自分なりの基準で決めるための考え方を紹介します。
シリーズ:40代の仕事を動かす行動心理学
出張先に財布を忘れた。でも、携帯はあった
今、私は出張に来ています。
ところが、家に財布を忘れてきました。現金もカードもありません。持っているのは携帯だけです。
普通に考えれば、なかなか困る状況です。食事はどうするか。移動はどうするか。急に必要なお金があったらどうするか。まずは、できる支払い方法を確認したり、必要な人に連絡したりと、現実的な対処をする必要があります。
ただ、そのあとに考えたのは、「財布がない状態で、どうすればいいのだろう」ということでした。
大変な出来事を、無理に良いことだと思い込む必要はありません。でも、起きてしまった出来事をただ嫌な記憶にするか、新しいやり方を知る機会にするかは、自分で選べます。
携帯だけで何ができるのか。何ができなくて困るのか。次から同じことが起きたら、どんな備えがあれば安心か。
困りごとを解決しながら考えてみると、これは少し面白い実験にもなります。
私は、起きる出来事はすべてチャンスになると思って生きています。
選択肢が多いこと自体が悪いわけではない
選択肢が増えると、人は必ず迷うのでしょうか。
必ずしもそうではありません。選択肢が多くても、自分にとって大切な条件がはっきりしていれば、むしろ選びやすいこともあります。
一方で、「何を優先したいのか分からない」「比較することが多すぎる」「間違えたくない」と思うと、選択肢は急に重くなります。
選択過多に関する研究のメタ分析でも、選択肢の数だけでなく、選択の複雑さ、決めることの難しさ、自分の好みの曖昧さなどが重なると、決めにくさが高まりやすいと示されています。
40代のキャリアで迷いやすいのも、選択肢が多いからだけではありません。
- 年収を優先するか
- 家族との時間を優先するか
- 今までの経験を生かすか
- 未経験の分野へ行くか
- 安定を取るか
- 成長の可能性を取るか
どれも大切なので、一つに決めにくいのです。
だからこそ、すべてを完璧に満たす答えを探すより、今回の自分が一番大事にしたい基準を一つ決める方が動きやすくなります。
気を抜くと、いつもと同じ方を選んでしまう
私の場合、意識をしないと、あまりいつもと変わらない選択をしてしまいます。
負担がない方。失敗しなさそうな方。慣れている方。考えなくても済む方。
それ自体が悪いわけではありません。疲れているときや、家族との時間を優先したいときには、無理をしない選択が正しいこともあります。
ただ、「本当はやってみたい」と思っているのに、面倒だからという理由だけで避け続けると、あとから少しずつ自分にがっかりします。
そこで私は、あえて大変な方、やったことがない方を選ぶように意識しています。
その方が大変なのは分かっています。でも、成長できる可能性も高いからです。
失敗しないように生きると、新しい成功の仕方にも気づけません。失敗も、次にうまくやるための材料だと考えています。
「楽しい方を選ぶ」は、楽をすることではない
ここでいう「楽しい方」は、単に楽な方ではありません。
少し怖いけれど好奇心が動く方。あとで誰かに話したくなる方。大変でも「やってみたい」と思える方です。
たとえば、二つの仕事があったとします。
- 慣れていて、確実にこなせる仕事
- 少し不安だが、今まで触れたことのない仕事
どちらを選んでもよいと思います。生活や体調の状況によって、慣れた仕事を選ぶべき時期もあります。
でも、余裕があるのに「失敗したくない」だけで二つ目を避けるなら、私は二つ目を選びます。
うまくいかなくても、あとで話のネタになります。そこから何か一つ学べれば、経験は自分の中に残ります。
「面白そうか」「自分の世界が少し広がりそうか」という基準は、正解がない選択に向き合うときの助けになります。
息子に胸を張って言えるかを考える
私には、もう一つ大切にしている基準があります。
自分の息子に胸を張って話せるか。
子どもが同じ挑戦をするとき、自分はどんなアドバイスをするだろう。やってみたいと言ったとき、「失敗しそうだからやめておけ」と言うだろうか。それとも、できる範囲で試してみたらいい、と言うだろうか。
子どもに言えないようなことは、自分もしない。
この基準があると、「楽な方」へ逃げそうなときに、少し立ち止まれます。
子どもがいない方なら、小学校4年生の自分が目の前にいると考えてみるのも近いと思います。
今の仕事を、その子に楽しそうに話せるか。今の自分の行動を見せても恥ずかしくないか。「本当はやりたかったのに、面倒だからやめた」と説明するだろうか。
もちろん、常に挑戦していなければならないわけではありません。ただ、迷ったときに自分の本音を確かめるには、良い問いになります。
迷ったときに使う5つの質問
選択肢が多いときは、比較表を増やす前に、次の五つを自分に聞いてみてください。
1.今、一番守りたいものは何か
家族との時間、健康、収入、仕事の責任。今は無理をしない方がよい時期もあります。最初に守るものを明確にします。
2.どちらが「楽」ではなく「楽しい」か
負担が少ない方ではなく、少し好奇心が動く方はどちらかを考えます。心が少し動くなら、それは試す価値があるサインかもしれません。
3.大変になっても、あとで話せる経験になるか
失敗を望む必要はありません。それでも、うまくいかなかったときに何かを学べる選択なら、ただ避けるより得るものが残りやすくなります。
4.息子、または小4の自分に勧められるか
自分の子どもや昔の自分に、どんな言葉をかけるかを考えます。他人のために考えると、自分への言い訳が少し見えやすくなります。
5.今日15分で試せることは何か
大きな決断をする前に、元に戻せる小さな行動を選びます。転職なら求人を一件見る。AIなら一つのサービスを触る。副業なら、自分の経験をメモに三つ書く。それで十分です。
選択は、一度で人生を決めるものではない
迷うときほど、一回の選択が人生を決めてしまうように思えます。
しかし、多くの選択は、その後に修正できます。
転職サイトを見ることは、転職を決めることではありません。講座を体験することは、高額な費用を払うことではありません。AIを使ってみることは、今までの経験を捨てることではありません。
「決める」と「試す」を分けると、選択肢は少し軽くなります。
まずは、興味がある方を15分だけ試す。そのあとで、続けるか、やめるか、別の方法を探すかを考えればよいのです。
行動の最初のハードルを下げる方法は、こちらの記事でも紹介しています。
明日は「いつもと違う方」を一つ選んでみる
明日、大きな決断をする必要はありません。
ただ一つ、いつもなら避ける方、負担が少しある方、少し興味がある方を選んでみてください。
- いつもと違う店で昼食を取る
- 気になっていた人に仕事の相談をする
- 未経験のAIツールを一つ開く
- 帰宅後に10分だけ勉強する
- 気になっていた副業の情報を一つ調べる
小さな選択でも、「いつもの楽な方」から少し離れる練習になります。
目標を決めるだけで満足してしまうときは、具体的な行動に落とし込むことも大切です。
まとめ
選択肢が多いと迷うのは、自分にとって大切なことが一つではないからです。すべてを満たす正解を探さなくても大丈夫です。
- 困った出来事にも、対処したあとで学べることがある
- 選択肢の数より、自分の基準が曖昧なことが迷いを大きくする
- 「楽な方」ではなく「楽しい方」を考える
- 子ども、または小4の自分に胸を張れるかを問う
- 決断の前に、15分だけ試す
起きる出来事は、すべてが最初から良いことではありません。
それでも、起きたあとにどう受け止め、次に何を試すかは選べます。
大変なことになったとしても、いつか話のネタになるかもしれません。そう思えると、選択の怖さが少し小さくなります。
明日は、いつもの自分なら選ばない方を一つだけ選んでみませんか。
参考資料
「40代の仕事を動かす行動心理学」シリーズ
- 第1回:やった方がいいのに動けない40代へ|明日の自分を変える5つの工夫
- 第2回:嫌な仕事ほど先延ばししてしまう40代へ|手帳に預けて頭を自由にする方法
- 第3回:失敗が怖くて動けない40代へ|成功より「小さく試す」を選ぶ方法
- 第4回:選択肢が多すぎて動けない40代へ|「楽しい方」を選ぶ5つの工夫(この記事)
- 第5回:続けられない40代へ|やる気がなくても続く「入口」の作り方

