40代管理職の1on1で大切だったこと|仕事以外の話が本音につながる

40代女性管理職と部下が1on1で自然に会話をしている様子 仕事
1on1は上司が答えを出す場ではなく、人として話せる関係を育てる時間。

1on1の予定がカレンダーに入っていると、少しだけ背筋が伸びます。

業務の進み具合はどうだろう。困っていることはないだろう。何か気の利いたことを言えた方がいいのだろうか。上司になったからといって、毎回すらすら話せるわけではありません。

けれど、私がいちばん手応えを感じたのは、仕事の話を一生懸命していたときではありませんでした。むしろ、休日のことや、最近あった小さな出来事を話していたときです。

遠回りに見える世間話のなかで、本人が本当に気にしていることが、ふっと顔を出すことがあります。今日はそんな1on1の話です。

1on1を「ちゃんとした面談」にしすぎていた

以前の私は、1on1をうまくやろうとしていました。

目標はどうですか。困っていることはありますか。次は何に挑戦したいですか。聞くべきことを用意して、時間を無駄にしないようにする。たぶん、悪いことではありません。

ただ、そればかりだと、相手はだんだん報告モードになります。「何か前向きなことを言わなくては」「上司が納得する答えを出さなくては」と、無意識に身構える。こちらは本音を聞きたいのに、相手には模範解答を探させてしまうのです。

1on1は、上司が答えを出すための時間ではないのかもしれません。まずは、相手がそのまま話しても大丈夫だと思える時間にする。そこがないと、どんなに立派な質問も、ただの確認事項になってしまいます。

仕事以外の話が、本音の入口になることがある

いきなり「困っていることはある?」と聞かれて、すぐ本音を言える人は多くありません。しかも相手は、自分を評価する立場の上司です。そりゃあ、少し考えます。

だから私は、最初から結論を急がないようにしています。

最近どうですか。週末は何をしていましたか。前に話していたあれ、その後どうなりましたか。仕事と関係のない話を、ほんの少し続ける。その途中で、「実は今、あの件がちょっとしんどくて」と話がつながることがあります。

雑談は、仕事をしないための時間ではありません。相手が「この人には、少し話してもいいかもしれない」と思うための助走です。

もちろん、毎回すごい話が出てくるわけではありません。趣味の話だけで終わる日もあります。それでもいいと思っています。困ったことが起きたときに、「あの上司なら話せるかも」と思ってもらえるなら、その雑談はあとからじわじわ効いてきます。

上司も、月曜日が憂うつだと言っていい

私は、自分の失敗談や、少しぶっちゃけた話を先にするようにしています。

上司だって、月曜日が憂うつな日があります。今日はちょっとサボりたいな、と思う日もあります。もちろん本当に仕事を放り出すわけではないのですが、そんなふうに思うこと自体は、たぶん珍しくありません。

以前は、上司なのだから、いつも前向きで、きちんとしていなければと思っていました。でも、できていないことまで「こうすべき」と語ると、どこかに無理が出ます。言葉は正しいのに、なぜか相手に入っていかない。そんな経験がありました。

それなら、「私も前に同じところで失敗したよ」「今日はちょっとエンジンがかかるのが遅かった」と話す方が、ずっと自然です。上司が完璧な人ではないと分かるだけで、立場だけの関係が、人と人の関係に少し近づきます。

ただし、部下に上司の悩みを背負わせるのとは違います。重い愚痴を聞かせたり、「私だって大変なんだから」と分かってもらおうとしたりする必要はありません。見せるのは、小さな不完全さで十分です。

モチベーションは、上司が上げるものではない

昔は、部下のモチベーションを上げなければと思っていました。上司なのだから、前向きな気持ちにして送り出さなくては、と。

でも、人の気分はそんなに単純ではありません。どれだけ良い1on1をしても、私生活でつらいことがあれば、翌日は気持ちが沈んだまま出社することもあります。上司がすごい言葉をかけたからといって、人生のあれこれまで片づくわけではないのです。

そう考えるようになってから、「気持ちを上げる」ことを目標にしなくなりました。

代わりに大事にしているのは、「今はこんな状態です」と話せることです。元気が出ないなら、元気が出ないと言える。仕事が重いなら、重いと言える。そのうえで、仕事の量や締切、声をかけるタイミングを一緒に考える。上司にできるのは、気持ちを操作することではなく、働きやすい条件を整えることなのだと思います。

話を聞くとき、すぐ正解を出さなくていい

部下が不満や不安を話してくれたとき、上司はつい解決したくなります。「それならこうすればいい」「気にしなくていいよ」と、すぐに役に立ちたくなる。

でも、相手が欲しいのは解決策ではなく、「それはしんどかったね」と受け止めてもらうことかもしれません。

私はまず、「そのとき、どう感じた?」と聞き返すようにしています。すぐに答えを出せないなら、「今すぐ良い案は出ないけれど、考えてみる」と言ってもいい。上司だからといって、何でも即答できる必要はありません。

答えを急がない時間があると、相手はもう少し話してくれます。そのあとで一緒に選択肢を考えた方が、結果的に仕事の話も現実的になります。

30分の1on1を、報告会で終わらせない流れ

忙しいと、「雑談をしている場合ではない」と思うこともあります。でも、最初の数分を省かない方が、後半の話が早いことがあります。私なら、30分をこんなふうに使います。

  • 最初の5分:近況や仕事以外の話。上司側からも一つ、肩の力が抜ける話題を出す。
  • 次の15分:本人が話したいことを中心に聞く。言葉に詰まったら「最近、やりにくいことはある?」と具体的に聞く。
  • 最後の10分:必要な支援を一つだけ確認する。「今週、私にできることはある?」で終える。

これで毎回、前向きな結論まで出さなくても大丈夫です。「今日は少し疲れているんだな」と分かっただけでも、次の仕事の渡し方は変えられます。

次の1on1で、ひとつだけ試すなら

いきなり理想の1on1にしようとしなくていいと思います。次回は、次のどれか一つだけで十分です。

  1. 最初の5分は、業務と関係のない話をする。
    答えを引き出そうとせず、近況を聞く時間にします。
  2. 自分の小さな失敗談を一つ話す。
    「自分も完璧ではない」と伝わる程度で十分です。
  3. 最後に「今週、私にできることはある?」と聞く。
    解決を急がず、支援が必要かを一緒に整理できます。

上司も忙しいですし、余裕のない週もあります。だから、毎回うまくやろうとしなくていい。少し話しやすい空気ができたなら、その感じを覚えておけばいいのだと思います。

まとめ|人として話せる関係が、仕事の話をしやすくする

1on1で大切なのは、上司らしい立派な答えを用意することではありません。仕事以外の話をする余白をつくる。上司も少しだけ人間らしさを見せる。すぐに正解を出そうとしない。

そんな小さな積み重ねが、部下の本音を受け止められる関係をつくります。

部下との伝え方に悩むときは、部下への指示が伝わらない40代管理職へ|伝え方を変える5つのコツも参考にしてください。また、管理職として孤独を感じるときには、管理職が孤独に感じる理由|会社とスタッフの間で悩んだときの向き合い方もあわせて読めます。

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